日本社会と北欧家具との関係

現在の私達の日本社会は、所謂大量消費社会です。

言い換えれば多くのものが、そのよさを省みられることなく、使われた後は捨てられているのです。

私達の社会におけるこのような風潮について触れた後で、再び北欧、それに北欧家具の話に戻ることにします。

現在の日本と単純に比較はできませんが、北欧家具の舞台である北欧の国々は、ヨーロッパの中では人口も少なく、また経済的にも恵まれているとは決して言えない時代が長く続きました。

そんな中北欧諸国の人々は、人間にとって一番身近な日常の生活を大切にしてきました。

そんななかから幸せな生活、本来の人間のあるべき生活を追求してきた、と言ってもいいでしょう。

たとえば、物質的には質素であっても、それでも豊かな生活をするにはどうしたらよいか。

客観的な条件によって物質的に満足することはできないので、限られた物をいかに永く大切に使いを考えてきました。

そうやって豊かな生活を営むためのテクニックやノウハウを、北欧の人々は経験としてこれまでずっと積み重ねてきました。

そうした精神のベースにあるもの、それは物を大切に使うことです。

精神的に質の高い暮らし

素朴ながらも尊い精神が、物を作る側にも、そして使う側にも宿っているのです。

そうした心がけの結果として、物質的には限りがあっても、精神的に質の高い暮らしにつながっているのではないでしょうか。

現在の北欧家具もこうした北欧の人々の精神を受け継いでいるのです。

ところで現在は経済的繁栄を謳歌している日本ですが、その一方で現在の日本人は「物を大切にする心を忘れてしまった」と嘆く声も時々聞かれます。

とは言え昔の日本はそうではありませんでした。

昔の日本人だって、物の有り難味、大切さを知っていました。

もともと日本人も、北欧の人々に近い生活を営んでいた、と言えます。

しかし経済の急激な変化、急激な発展によって、我々日本人は大量生産、大量消費という物質的な豊かさを経験し、それによって物に対する接し方、本来持っていた物に対する愛着を忘れてしまったのではないでしょうか。

こんな時代になっても、それでも我々日本人の根底には、本来あった物を愛する精神が、まだ存在していると信じたいものです。

そんな日本人の根底が北欧家具の精神と主旨にひきつけられている、これこそが現在の日本人の多くが、北欧、それに北欧家具に魅力を感じている理由なのかもしれません。

というわけで、ここではそんな北欧家具、それにそのデザイン、とりわけ日常生活に密着した北欧家具と、そこに刻まれた北欧家具の精神について紹介していきたいと思います。

また、ただ現在日本で売られている北欧家具の紹介のみに止まらず、その背景や歴史、それに北欧家具の持つ特徴や魅力等、さまざまな視点から北欧家具の描く世界を紹介し、そして多くの方々が北欧家具を理解するうえでの参考にしていただければ幸いです。